去年の夏の終わり頃、仕事の忙しさも一段落付いたので、
気分転換のために平日に休みを取りました。
当日は特に計画もなく、とりあえず地元ローカル線の
列車に乗ってぼんやりと車窓を眺めていました。

スパイのイメージ

列車が山あいの地域を走行していると、
ふと降車したい気持ちが強くなりました。

十数分後、今まで一度も降りたことのない山奥の無人駅に降り立ちました。
駅から出て辺りを見回すと、少し離れた小山の頂に
神社の鳥居らしきものが見えたので、お参りに向かうことにしました。

厳しい暑さの中、汗をぬぐいながら石畳の階段を上り、
鳥居をくぐるときれいに整備された立派な神社がありました。
境内には地元の方らしき参拝者も数名いて、
ごく普通の雰囲気だったのですが、
清めを済ませ拝殿に向かおうとしたところ
首筋から背中にかけて猛烈な寒気を感じました。

何かの気配も感じたのですが、振り返るのが怖くて
全身に冷や汗をかきながら、早足で駅まで戻りました。

家に戻った後も、その時の体験を思い出して、
何か変な現象が起きるのではないかと気が気ではありませんでした。

次の日、仕事が終わり、いつもの道を自転車で
家まで向かっていると、突然目の前を白い物が
横切った気がして左にハンドルを切りました。

すると、私の自転車のすぐ側をかすめるように
一台の軽自動車が直進し、その先にある十字路で
横から来た別の車と衝突してしまいました。

ぶつけられた方の軽自動車は横転しましたが、
運転手の方はシートベルトをしていたため軽傷で済みました。

もし、あの時ハンドルを左に切らなかったら
私も事故に巻き込まれていたかも知れません。

神社で感じた気配と、視界を横切った白い物の関係は
分りませんが、超自然的な物の存在を感じさせるような出来事でした。